酒井先生が紙袋に入った塗り薬を私の前に出した。背中と太ももに小さな火傷があるらしい。多分スタンガンを当てられたからだと思う。
痕が残らないよう、治るまでしっかり塗るようにと言われた。
「それでは、私はこれで失礼します。花ちゃん、何処か痛かったり辛かったりしたら直ぐに連絡くださいね」
「はい!ありがとうございます!」
笑顔で言うと、酒井先生は何故か深い溜息。
パパと私を交互に見て呟いた。
「…竜二の血を引き継いでいるとは思えない」
「おいコラ、馬鹿にしてんのか」
酒井先生は笑う。「馬鹿にしてるのは少しだけ」と言いながら。
「千夏にそっくりですね。花ちゃんは、性格も見た目も…少し竜二に似てるのが残念ですけど」
「お前!確実に馬鹿にしてるな!?」