天然お嬢と双子の番犬さん




「お嬢!今日も楽しんできてください!」

「うん!皆もあんまり頑張り過ぎないでね。誰かが体調崩したら悲しいから!」

「お嬢に悲しい思いさせるわけありませんよ。そうなっても全身全霊で治します。三時間で」



わお、皆真顔!本気だ!安心!



「ああ、お前等二人。学校で花が危険な目に合ってもやりすぎ注意な。カタギに怪我させたら、俺が花に嫌われるし、学校にもバレるからな。

そして、花に嫌われたら俺は死にます」


「「死ぬなよ」」



背中を向けるとパパが石を叩く。


カチッ、カチッ、



「いってらっしゃい、花。今日も一日、良き日を」

「うん!行ってきまーす!」



そう言って、和と湊に挟まれながら家を出た。


二人は従兄弟の設定になっているらしい。


「おじょ…」

「花です!五十嵐花!」


学校ではお嬢は禁止!バレるでしょ!
今は校外だから許せるけど。校内なら怒るぞ!


「…チッ、」

「湊!煙草はダメだからね!」


煙草の代わりに飴あげたでしょ!
ミントタブレット系も沢山。

未成年は煙草ダメ!ゼッタイ!

お陰様で湊のイライラは半端ない。
私じゃなきゃ既に殴られてるかも。

あと、和も。

イライラと言うか面倒くさそうな雰囲気。



「和!湊!もう少し楽しもうよー!
青春を取り戻すチャンスだぞ!」

「「頼んでない」」



も~!つれないなぁ。
滅多にない機会を貰えたのに。


ドンッ、と肩に何かが当たった。


そんなに狭い歩道じゃなかった。でも、太ったサラリーマン風の男に当たってしまったのだ。