「ああ、それはごめん。でも”悪くない”って言う阿呆に癇癪を起してしまってね。思わず…こう、バンっと」
銃のポーズを作り、自分のこめかみに合わせる留華。
竜二は舌打ちをし、葉巻を取り出す。
その様子に留華は驚いた。
「親父、煙草吸うの？」
それに気付いた竜二が「あ、」っと声を出す。言い忘れていたようだ。
「そういや言ってなかったな。花はもう煙草気にしてねぇんだよ」
「…へぇ？」
そう言ったが、留華は納得していなかった。
「煙草の匂い嫌いだって言ってなかった？」
「あー…、湊が吸うからな、慣れたんだと。だから気にしなくていいぞ。お前アメスピだよな？買って来てねぇのか？」
「……ああ、うん」
その後で小さく「お嬢が嫌いだって言ってたから」と言った。
