「あのさ、怖いものじゃなくて、聞いてほしいんだけど…」
思っていた事は口に出さないと何も伝わらない。
今一番聞きたいのは、二人の怖いものじゃなく、二人の本当の気持ちの方。
「いついなくなるか分からない。だからこそ思いを伝える事、聞いておく事…でも相手に不快な思いをさせるような事はするなよ」そう教えてくれたはパパだった。
今にも泣きそうな顔で、パパが私に教えてくれた事。きっとママを思い浮かべてたんだと思う。
「和と湊は私の事…、」
「キャアアア!!!!」
…え?
至る所から叫び声がした。そこに目を向けると、白いガスのような物が上がっている。パニックになった人達が走って来ていた。
「え!?なに…!?」
「っ、お嬢、離れないで」
和が私の前に立った。
湊は私の口元を手で覆う。
「なんのガスだ?」
「黒くはない…有害じゃないはずだ。ただ人が多すぎる。ここから離れよう」
手を引かれた、けど。
子供の泣き声が聞こえる。
人混みの中一人で「ママ」と叫びながら泣く子供を見つけた。
あのまま居たらきっと、走ってくる人達にぶつかって怪我してしまう。
「あの子供の所に!」
「っ!?お嬢!待って!」
「一人で行くな!お嬢!」
手を伸ばす二人を振り切って人込みに紛れた。


