「フッ…だろうな。

痺れ切らしてここに乗り込んできたは良いが、上手く行かなかった。その腹いせにコイツを撒いたって所だろ。

…俺のシマでなんつーもんばら撒いてやがる」




低い声。
身震いしてしまいそうなオーラ。



「ルーフスのボスは俺があの時殺し損ねた禿げジジィ。それから幹部にお前等と同じ腕の利く奴がいるらしい」


「へぇ。僕達と同じねぇ」


「…関係ねぇよ」


「──それと、そのせがれは32のジジィだった」



竜二が小瓶を握った。ガラスの割れる音がし、床に散らばる破片とピンクの粉が落ちる。



「あのクズ共め…ジジィが俺の花にお似合いだぁ?ふざけんじゃねぇぞ…」



沸々と湧き上がる殺気と怒り。
手についた粉を払い落とし、息を吐く。



「この件はひと月で終わらせる。花には言うなよ。無駄に心配かけたくねぇからな」


「そうだね~、屑のせいでお嬢が心配するのは勿体ないし」


「こんな糞共に時間を使うのが勿体ねぇな」