「──花?それどうした?」



私の膝を枕代わりにするパパが言った。



「どれの事?」

「首のやつ」



首?…ああ!赤い点みたいなやつね!



「虫に刺されたのかも!」

「あ゛?」



勢いよく起き上がったパパに両肩を掴まれた。吃驚して目を丸める私。



「どこの虫だ?俺の娘の血を吸うなんざ百億年早ぇんだよ。消滅させんぞ」


「親父、お嬢が吃驚してる」



和がそう言うと、パッと離れてる手。ゆっくり後退り。



「俺は怖くないヨ。花。安心シテクレヨォ…」



なんでカタコトなんだろ。


怖く無いよ。
吃驚しただけ。


何処で刺されたのか見当もつかない。
…あ、でも。



「和と湊に──、」



「お嬢、馬鹿猫…いや、リンにご飯あげなくていいの?」



「ソイツ、さっきから腹鳴ってんぞ」



「え!?大変!今から魚裁くねッ‼」



「危ない!危ないから‼パパが捌くから‼パパ頑張るから‼」



慌てて出て行く私の後に続き、パパも部屋を出た。