ニャア、と鳴くリンは相変わらずで。野良から家猫になったからなのか、最初は戸惑っていた癖に、今じゃ誰よりも肝が据わっている気がする。
ここが普通といえる家じゃないからかもしれないけど。
『イヤアア!!!!』
「「ッ!?」」
…あ、これは。
クライマックスの手前っぽい。
しがみつく二人で見えない状態が続き………、
小一時間後。
エンドロールが流れた。勿論見えていない。ただ聞こえるだけ。
結局見れたのは開始三十分ぐらいだった。
「終わったよー?」
「「……、…」」
知らなかったなぁ…二人共ホラー系駄目だったんだ。
肩に乗る二人の頭がちょっと重い。
でもそれぐらい怖かったんだろう。
手を伸ばして和と湊の頭を撫でた。一瞬ビクッとする二人。
「大丈夫だよ。もう終わったから」
誘った時一瞬嫌な顔してたけど、すぐに戻ったから気のせいなんだと思ってた。でも本当は嫌だったんだね。私に気を使ってくれたのかな?
「ごめんね。もう怖いの見る時は誘わな、」
「…大丈夫。また誘って」
「……見る」
この状態になるぐらい怖かったんじゃないの?
「無理しなくて、」
「「見る」」
ええ…?全く見えなかったし、全く見てなかったのに?


