「お嬢、」


後ろから引っ張られ、顔を上げた。
和の綺麗な顔が真上に。



「食べる前に親父に…」

「わぁ…和は何処から見てもかっこいいね」



あれ、

手を伸ばし頬に触れた。
熱い。熱を帯びてる。



「和?どうしたの?具合悪い?」

「…ッ、違うから。ほら行くよ」



手を引かれ、足を踏まないよう気を付けながら歩いた。


…耳まで赤くなってる。
もしかして、風邪?

最近流行ってるもんね。



「……天然たらし」

「ん?なんか言った?湊」

「なんでもねぇよ」



二人に連れられて、金魚の柄が描かれた襖の前に立った。