「その女を寄越せ!」



ここにいる女は、私だけだから私の事だね。


今話してる人が多分リーダー。他の人達は一歩下がって睨んでるから、お仲間さんなだけだね。




「若頭が来る前にさっさと寄越しやがれ‼」




え?ここにいるよ?
今目の前にいる二人が若頭だよ?


信じられないと思うけど。
学生服着てるこの二人が若頭だよ??




「その女は五十嵐竜二のむす───、」




男の肩に手が乗った。

邪魔だと言いながら振り向くと、名前の張本人…。



「俺の事呼んだ?」

「え…あ、はッ…え??」



語彙力一瞬で吹っ飛びました。
私とパパを交互にガン見。



「俺の聞き間違いなのか知らないが…俺の娘に用があるって?」




青くなる男と満面の笑みで肩に力を入れていくパパ。



「お嬢、帰ろっか?」

「え?パパは?」

「…すぐ来る」



二人に引っ張られながら、怖い人達の横を通り過ぎた。

去り際、パパに口パクで「手洗いうがいしろよ」と言われた。