…あ、あれ?
帯してなかったっけ?
「ご、ごめん!急いでたから忘れたのかも!」
やばいやばい!
普通にするの忘れてた!
急いで戻る?でも猫は?戻ってる間に落ちたりでもしたらどうする?
…あ!和に応援任せればいいのでは!?
「あ、あのね!木の上に…、」
…やま、と?
違う。雰囲気が。…睨むとかそんなんじゃなくて、なんて言えばいいかな。まるで動物みたいな。獲物を捕らえるような目って感じで────、
ビクッ、
和の指が下着の紐を引っ張った。
肩から落とされ、少し隙間が出来る。
見えないように両腕で隠す。
腰を撫でる仕草と鋭い目付き。
「…ごめんね。もうしないから怒らないで」
これってやっぱり怒ってるからだよね?
今までこんな事された事無いもの。
突然起き上がって来て吃驚した。
頭だけ肩の方に落としてきた。
「やま…痛っ!?」
首筋の方に痛みが走った。
離れてすぐに首を抑える。
結構痛かったけど…もしかして噛まれた!?
な、なんで!?
離れた和と目が合った。
何度見ても綺麗な顔してる。
お世辞なんかじゃない。本当に綺麗な顔。だからだと思う。
笑った顔じゃなく、真剣な顔をする和にドキドキしてしまうのはきっと生理現象。
「…着替えておいで。このまま歩き回ったらまた同じことするよ」
また噛まれるって事!?
それは嫌…あ゛ッ!
立ち上がり、腕を引っ張る。
「ッ!?お嬢!僕の話聞い…!」
「猫が!猫さんが木にぶら下がってたの!」
命がけの猫さんを差し置いて!のうのうと着付けなんて出来ないって!


