家に着いて制服を脱ぐ。
今頃パパに酷い目に合わされてるのかな。なんて考えながら浴衣を取り出す。
今日はピンク色にしよっと。
レトロ風なのがとっても可愛い。
片腕を通した時だった。
…気のせいかな。
猫っぽい鳴き声が聞こえるような。
帯を巻いていない状態で窓を開ける。
そして目に付く。敷地内で一番大きな木にぶら下がる猫の姿を…。
「え!幻聴じゃなかったの!?」
慌てて部屋を飛び出す。
廊下を走り、突き当り。
「お嬢?」
「うわぁ!?」
突然出てきた和に突撃。着物だったから上手く支えることが出来なかったのだろう、和は私を抱きしめながら尻もちをついた。
痛そうな和の声がする。
「ッ…お嬢、危ないから廊下は走るなって言って────、」
和の動きが固まった。
視線は自分の上に乗る私。
「ごめん!でも急いでて!」
ああ!こうしてる間にも猫さんがぁ!
直ぐに立ち上がりたかったが、和に抱きしめられていて動かない。さっきよりも力が強くなってる気がした。
「和?もしかして怒ってる?」
廊下走ったから怒ってるのかも。でも仕方ないよ。緊急事態だったから。
「お説教は後で聞くから!」
とりあえず離してほしいかな!
「…お嬢、」
鋭い視線を感じた。
怒って…る?
でもちょっと違うような…。
「何、この格好」
スルッ────、
肩からずり落ちた浴衣。
露になる下着姿の私。


