「ご、ごめん…知らなくて」
「別にいい。俺も知ったのはつい最近だしな」
私を一切見ない彼はただひたすらに本の整理をしている。
「…あの、西園寺くん?」
「苗字で呼ぶな。丞でいい」
「え!じゃあ私も名前で…」
「名前で呼びたくない」
あ…はい。すっごい見えない壁がある…。
「で?質問の回答は?」
え?…あ、和と湊の事?
「パパ…えっと、組長が不安だからって…」
「至れり尽くせりだな。だからって26歳が学生とか馬鹿なんじゃねーの」
…す、すごい言われてる。
自分が段々小さくなっていってるような気分になった。
「あ、あの…丞くんは送り迎えとかは?」
「言う義理は無い」
──────沈黙。
なんか…なんか!
「気難しいね丞くん!」
「本人を前にして言う事か?」


