天然お嬢と双子の番犬さん




和にメールを送って、渋々だけど許可してくれた。

駄目って言われても…もう言っちゃったから、するしかないんだけどね。


誰もいない図書室で本の擦れる音だけがする。



「…五十嵐さん」



台に乗り、本を差し込む西園寺くんが言った。私の方は一切見てない状態で。



「あ、本のサイズ間違ってた?」

「いや、合ってる」



手を差し出され、その上に同じサイズの本を置く。



「なんで噂の若頭連れて学校来てんだ」

「ん゛!?」



ば、ばれてる!?え!


「驚くなよ。俺は五十嵐さんと同じ境遇ってだけだ」


同じ境遇?
それって…。

思い当たるのはたった一つ。



「西園寺くんの家って、私と同じなの?」

「…西園寺組、俺はそこの一人息子」



そうだったんだ。極道については疎いから、分からなかったや。


あれ、既視感…?

右京組が一瞬頭に浮かんだ。