……無理じゃないかな?


「ってわけだから、よろしく」


先輩、遂に爆発。

振りかぶった拳は和の頬に…入るわけも無く。受け止められた。



「てめ…!」

「あ、犬飼って奴に言伝を頼んでいい?」

「はぁ!?」



和は先輩の耳に顔を近付け口を開く。




「花は僕達の物だ。誰にもやらない。少しでも触れてみろ、その時は…五体満足でいられると思うなよ」




…何か言ったのかな?


小さい声だったから全然聞こえなかった。

殺気は無かったと思うんだけど。
あれ、でも先輩…。


先輩と離れた和は満面の笑み。反対に先輩の顔は青ざめていた。



「片付けと、作ってくれた人に対して謝るんだ。いいね?」



先輩は無言で頷いた。



──────結局全部やってくれたなぁ。先輩。


後で和に何を言ったのか聞いたら、「食べ物を粗末にするのは駄目だって言ったんだ」って言われた。満面の笑みで。


殺気も手も出してないからセーフだよね、とも言われた。


確かに出してなかったと思うけど…。明らかに先輩ビクビクしてなかった?突っ込みたくても、本当かどうかわからないから何も言えないけどさー。




残り二時間を無事に終え、LHRの時間。



先生は相変わらずの開けたシャツを着ていた。香水の匂いもまだ強烈である。


うーん…また付け直したのかなぁ。
匂いがきつく感じちゃうや~。


一部の生徒は鼻を摘まんでいる。
湊がそのいい例なんだけどさ。



「東雲和くんっ!」



甲高い声に吃驚した。