外で作業をしていたリドとルノアは突然の空から訪問者を驚愕の表情で見つめ警戒していたが、愛来の姿を確認すると警戒を解いた。
ウィルは愛来をルドーから降ろすと、リドとルノア元まで愛来を連れて行った。
「すまない、驚かせたか?私達もロドスを弔いたい。良いか?」
そう言ったウィルの顔を見たルノアさんは口元を押さえ驚きの声を上げる。
「おっ王太子殿下!!……はい。父も喜びます」
「今日私が来たことは他言無用でお願いしたい」
「はい。分かりました」
ウィルは自分の後ろで小さくなっている愛来の腰に手を回すと前へ出るように促した。
愛来は覚悟を決めリドとルノアに頭を下げようとした時、ルノアの後ろに隠れていたリドが涙をいっぱいに溜めながら愛来の前で頭を下げた。
「聖女様ごめんなさい……。ぼく、聖女様にひどいこと言って……あの後ママが教えてくれたんだ。おじいちゃんの病気のこと……聖女様は悪くないって……っ……」
小さな子供が涙を我慢しながら話す姿に、愛来も口元を震える両手で押さえ涙をこらえた。それでも瞳に溜まった涙は限界を超えて流れ出し、頭を下げたままのリドの瞳からポロポロと涙がこぼれ落ち地面に吸い込まれた。
「……っ……おじいちゃんは死んじゃったけど……痛みで苦しむことも無く幸せだったって、僕もそう思ったよ。……聖女様のおかげで……っ、おじいちゃんは救われたんだって……。最後に僕や、ママと穏やかな時間を過ごせたから……。うっ……だから……だから……おじいちゃんは……っ……さいご……最後に……笑ったんだ……」
そう言って顔を上げたリドの顔は大きな瞳から涙がを流しているのに、嬉しそうに笑っていた。
愛来はリドを強く……強く抱きしめ、愛来も謝った。
「リド……ごめんなさい……」
二人はしばらく「うぇーーん」と声を上げて泣いていた。
そんな二人の姿をルノアさんも涙を流しながら見守り、ウィルは愛おしそうに見つめていた。


