きみとぼくの終わらない物語

 やっぱりこの光景はまだ慣れない。

 生まれたときからずっと住んでいるわたしの家。

 その家のドアの前で、ポケットをごそごそあさっている、わたしと同じ制服を着た男の子。

 あれ、なんかこのしぐさ、どっかで見たような……ああ、さっき教室で見たんだ。



 そう、いま目の前にいるのは、球技大会で人だかりを作ったというモテ男子、高折蓮なのだ。

 わたしは自分の鍵を取り出すと、そうっとその背中に近づいた。



「あのぅ……」



 声をかけると、ポケットをあさっている高折くんの手がピタッと止まった。



「わたしの鍵で……開けましょうか?」



 そう言って一歩踏み出し、鍵穴に鍵を差す。

 高折くんは何も言わないで、わたしの手元をじっと見ている。

 わたしはさらに緊張して、鍵を持つ手が不自然に震えてしまう。



「どうぞ」



 ドアを開けると、わたしは先に家へ上がり、洗面所からタオルを取ってきた。



「これで拭いてください。よかったらお風呂も入っていいですから」



 高折くんの制服も髪も、びしょ濡れだったから。



「……どうも」



 わたしの顔を怪訝そうに見た高折くんが、ピンクのタオルを受け取る。

 そして靴を脱いで家に上がると、そのまま二階へ行ってしまった。



「はぁ……」



 体中の緊張が一気に解けて、ふらふらになりながらリビングへ行く。

 するとわたしの足に、もふもふしたものがふわっと触れて通り過ぎた。