きみとぼくの終わらない物語

 美術部の部室で漫画を読んで、冬ちゃんと好きなアニメの話をする。

 落ち着くなぁ……学校の中で、ここがやっぱり一番落ち着く。



 わたしと冬ちゃんと一年生が三人だけの、ゆるい部活。

 来たいときに来て、好きなことをして、帰りたいときに帰ればいい。

 苦手な人と話さなくてもいいし、誰かに気を使う必要もない。



 わたしと冬ちゃんはここで好きな漫画を交換して読んだり、漫画やイラストを描いたりして、幸せな時間を過ごすのが日課だった。



「冬ちゃん、漫画の続き、描けた?」

「うーん、もうちょっと」

「描けたら見せてね」



 冬ちゃんは漫画を描いている。すごく上手くて面白い。

 続きができると、一番にわたしに見せてくれる。

 わたしはそれをすごく楽しみにしているんだ。



「くるみも描けばいいのに」



 冬ちゃんが漫画本から視線を上げて、わたしに笑いかける。



「わたしは……冬ちゃんみたいに上手くないもん」

「なに言ってんの。くるみだって絵、上手いじゃん」



 絵を描くことは、好きだし楽しい。

 きょうだいのいないわたしは小さいころから、いつもひとりで絵を描いて遊んでいた。



 実はわたしもいま、こっそり描いているものがある。

 だけどそれは、まだ冬ちゃんにも見せてない。

 自信が……ないんだ。

 だからわたしの密かな夢も、誰にも話したことがない。



「あ、もうこんな時間だ」

「そろそろ帰ろうか」



 冬ちゃんがパタンと漫画本を閉じる。

 わたしたちは後片付けをして、一緒に部室を出た。