「でもさ、最近あいつ、やけにくるみちゃんに絡むだろ? 金借りたり、看板作り手伝ったり。昨日だって、あのあとバス停に来ただろ? あいつ」

「え……」

「あ、別にのぞき見してたわけじゃないぞ? 冬ちゃんが気になるって言うから、一緒に確認しただけで。断じてのぞきではない。うん」



 新名くんはひとりで納得したあと、わたしに言う。



「だからなにか知ってるのかもって思って。くるみちゃんは、蓮のこと」



 新名くんがわたしを見る。

 わたしは唇を引き結ぶ。



「あ、もし違ってたらごめん。でもなにか知ってるんだったら、なんでもいいから教えて欲しい。おれ、心配なんだよ。葬式のとき見たあいつの顔が……忘れられなくて」



 新名くんはいい人だ。

 本当の、高折くんの友達なんだ。



「あの……わたし」



 わたしの声に、新名くんが身構える。



「わたしね……高折くんと、一緒に暮らしてるの」



 遠くで生徒たちの笑い声が響いた。

 新名くんはわたしの前で、ぽかんと口を開ける。



「え、そ、そうなんだ。へぇ、そうだったんだ」



 新名くんがなにを想像していたのか知らないけど、わたしと同居しているとは思ってなかったみたいだ。



「わたしのお母さんと高折くんのお母さんが親友だったから。それでお母さんが、とりあえず高校卒業まではって、高折くんをうちに連れてきたの」

「お母さんが連れてきた……」



 新名くんは頭を整理するように、ひとりでぶつぶつ言ってから顔を上げる。



「てことは、つきあってないの? くるみちゃんは蓮と」

「えっ」



 わたしの顔がかあっと熱くなる。