新名くんは校舎の裏の、あんまり人のいない所まで来ると、ポケットからどこかのクラスが配っていたチラシを取り出した。

 そしてそれを階段状になっている所に敷き、「どうぞ」とわたしに声をかける。



「座っていいの?」

「どうぞどうぞ。他のクラスのチラシなんて、くるみちゃんのお尻で踏んづけちゃって」



 わたしは思わず笑ってしまった。

 新名くんは面白い。それにやさしい。

 だからモテるに決まってる。

 わたしは新名くんの言う通り、そこに座った。

 そして隣に座った新名くんに、焼きそばを一つ渡す。



「うお、いい匂い! 意外とうまそー! いただきます!」

「いただきます」



 わたしもそう言って、新名くんと一緒に同じものを食べる。



「おお、意外とうめー!」

「意外、意外って、失礼だよ、新名くん」



 新名くんが笑って、わたしも笑った。

 なんだかすごく楽しい。

 新名くんはあっという間に焼きそばを食べ終えると、今度はクレープを食べはじめた。



「こっちもうめー!」

「大げさだなぁ、新名くんは」



 新名くんも甘いものが好きなのかな。

 わたしはちょっと、高折くんのことを思い出す。

 高折くんも今ごろ永峰さんと、こんなことをしているのかな。