中庭でやっている他のクラスの出店で、焼きそばとクレープを買った。

 新名くんはどこに行っても、人気者だった。

 男の子からも女の子からも、次々声がかかって忙しそうだ。

 そしてそれに、ちゃんと神対応できているところも、さすがだなって思った。



 昨日は高折くんや新名くんたちのこと、わたしと同じ普通の高校生なんだって思ったけど、それはやっぱり違うみたい。

 わたしと彼らはランクが違う。

 一流アイドルと一般人くらい違う。



「あー、ごめん、ごめん。おまたせ」



 他のクラスの女子に囲まれていた新名くんが、わたしの前に戻ってきた。



「すごい人気だね」

「明日もメイドやるから、絶対来いって宣伝しといた」



 新名くんはそう言って、また豪快に笑う。

 それからちょっとなにかを考える顔つきをして、校舎の向こうを指さした。



「あっちで食わない? それ」



 さっき買った焼きそばは、わたしが持っていた。



「うん。いいよ」

「じゃあ、行こう」



 新名くんのあとについて歩く。

 午後の日差しが新名くんのTシャツを、まぶしく照らしていた。