写真を撮ったあと、連絡先を交換したら、新名くんはすぐにわたしと冬ちゃんに写真を送ってくれた。

　スマホの画面に映し出される、今撮ったばかりの写真。

　わたしの肩を抱くように、新名くんの手が映っている。



「蓮にも送っといてやるな？　おれたちの写真」

「いらねーよ」

「まぁ、そう言わずに」



　新名くんがスマホをいじっている。

　わたしは思わず「あっ」と声を上げる。



「なに？　矢部ちゃん」



　スマホを持ったまま、新名くんに見つめられる。



「あ、ううん……なんでもない……」



　言えなかった。高折くんには送らないでって、言えなかった。

　新名くんはふっとわたしに笑いかけると、「送信っ」とつぶやいてから、スマホをポケットにしまった。



　高折くんはわたしたちに背中を向けて、段ボールを片づけている。

　わたしも黙って後片付けをはじめる。

　それからみんなで部室を片づけ、元通り綺麗になった頃、外はもう真っ暗だった。