学校が休みの土曜日。

 寝坊して、お昼近くにリビングに降りてきたら、お母さんとお父さんがおしゃれをして出かけるところだった。



「あれ、どこか行くの?」

「今日は静ちゃんの結婚式よ」

「ああ、そうだっけ!」



 静ちゃんというのは親戚のお姉さんで、彼女の結婚式のため、お母さんたちは東京へ出かけることになっていたのだ。



「帰り遅くなるけど、大丈夫よね。夕方になったら洗濯物取り込んでおいて」

「うん」

「ああ、蓮くんはもう、バイトに出かけたわよ。夕食も食べてくるから、いらないって」



 そうなんだ。土日は一日中バイトなのかな。

 それともどこかで遊んでくるつもりなのかも。

 どっちでもいいや。今日は一日のんびり絵が描ける。



「じゃあ行ってくるわね」

「行ってらっしゃい。静ちゃんによろしくね」



 晴れ渡った空の下、お母さんとお父さんはにこやかに出かけて行った。