「それ、最新刊!」

「えへ。買っちゃった! 部室行って一緒に読もうよ」

「うん、読む読む! 待ってたんだぁ、続き」



 冬ちゃんと意気投合して笑い合ったとき、また男子たちの騒がしい声が聞こえた。

 冬ちゃんは顔をしかめて、ちらりと後ろの席を見る。



「あの人たちって態度デカいけど、声もデカいんだよね」

「え、ああ、そうだね……」



 冬ちゃんはうんざりした顔つきで、眼鏡をくいっと指先で上げた。



「いつだって注目されたいって、思ってるんだろうね。ああいう人たちは」



 冬ちゃんの声を聞きながら、『ああいう人たち』をそっと見る。



 カッコよくてオシャレで、クラスで一番、いや学校一と言っていいほど、目立っている男子グループ。

 廊下を歩くだけで先輩からも後輩からもキャーキャー騒がれて、教室でも派手でおしゃべりな女の子たちと常に一緒にいるような、そんな人たちの集まり。

 類は友を呼ぶって、このことかって思う。



「ま、わたしらにはカンケーないけどね」



 冬ちゃんがそう言って、にかっと笑う。わたしもそんな冬ちゃんに笑い返す。

 冬ちゃんの笑顔を見ていると、なんだかすごくほっとする。