きみとぼくの終わらない物語

「なに見てるの?」



 突然声をかけられ、はっとする。

 わたしの席のそばに、冬ちゃんが立っていた。

 冬ちゃんはわたしが見ていた方向を見て、あからさまに顔をしかめる。



「もしかして、高折くんたちのこと、見てた?」

「ま、まさか。なんでわたしが高折くんを見るの?」



 そう言って笑ってみたけど、冬ちゃんは首をかしげて、わたしの顔をのぞき込んでくる。

 まずい。冬ちゃんに怪しまれている。

 わたしの笑顔、ぎこちなかったかな。



「そ、それよりさ。今度、席替えやるみたいだよ。冬ちゃんの近くになれればいいなぁ」



 ぎこちない笑顔のまま、話題をそらした。



「え、やった! いまの席、最悪なんだもん。先生の目の前でさ。授業中に漫画が描けない」



 わたしたちは顔を見合わせて、くすくすと笑い合う。

 教室の隅でささやかに。

 地味だっていい。友達が少なくたっていい。趣味が漫画だっていい。

 こんなわたしたちでもあの人たちに負けないくらい、ちゃんと幸せだった。