明日の準備をし、パジャマに着替えて布団の中にもぐり込む。



 今までだったらお風呂に入ったあと、普通にパジャマを着てだらけていたけれど、高折くんがいるからなんとなくそれができない。

 だからリビングにいる時は普段の服を着ていて、寝る前にパジャマに着替えるようになった。

 ただ、そんな苦労もむなしく、今朝はパジャマ姿をバッチリ見られてしまったけど。



「ふう……」



 布団に入っても、なんだか眠れなかった。

 起き上がってベッドから降り、電気をつけて本棚をながめた。

 小さいころお父さんが作ってくれた本棚には、わたしの好きな漫画や絵本がずらりと並んでいる。



 わたしはなんとなく、高折くんがお母さんと一緒に、うちに遊びに来た日のことを思い出した。

 幼稚園生だった高折くんは、女の子みたいにかわいくて、おとなしくて人見知りで、お母さんにべったりくっついて離れようとしない子だった。



「この子、臆病でしょうがないの。ほら、蓮、くるみちゃんと遊んできなさい」



 高折くんのお母さんに背中を押されて、わたしたちはふたりだけでこの部屋に来た。

 だけど何をしたらいいのかわからなくて、わたしも困った。



 同じ幼稚園の男の子は、ぬいぐるみ遊びやおままごとをやらない。

 でも男の子の好きそうなおもちゃなんて、この部屋にはないし……。

 仕方なくわたしは、本棚から絵本を取り出し高折くんに見せた。