きみとぼくの終わらない物語

「た、高折くんは知ってるんでしょ? たくさん女の子とつきあってきたんだから」

「たくさんなんて、つきあってねーし。ていうか、つきあったって言っても、なんにもしないですぐ別れちゃったから、そういうことはまだ……」



 高折くんがそこで言葉を切る。

 そういえば高折くん、中学のときはつきあってもすぐ別れちゃったって言ってたし、高校生になってからは誰ともつきあってないらしいし……じゃあもしかして高折くん、こういうこと、したことないの?



「なぁ~ご」



 ミルがのっそりと顔を上げ、わたしたちを交互に見た。

 なにか言いたそうな表情で。

 それから高折くんの膝から飛び降りて、地面で大きく伸びをする。



「か、帰るか」



 高折くんが、そんなミルを見下ろしながら言った。



「うん……そうだね」



 ふたり同時に立ち上がり、顔を見合わせる。

 なんだかものすごく恥ずかしくなって、また同時に顔をそむけた。

 ミルはしっぽをピンっと立て、そんなわたしたちのことなど気にもせず、家に向かって歩いていく。



「おれさ……大事にしたいと思ってるから」



 静まり返った公園に、高折くんの声が響いた。



「くるみとこうやって過ごせる時間とか、くるみの周りの人たちのこととか、もちろんくるみのことも……すごく大事にしたいと思ってる」



 顔を上げたらまた目が合った。



「だからさ、これから少しずつ、くるみに近づけていけたらいいかなって思ってて……」

「あ、えっと、ごめんなさい! それなのにわたしいきなりあんなこと……」



 さっき、わたしからしたほっぺのキス。

 思い出すと汗が噴き出る。



「いやっ、ぜんぜん、うれしいんだけど! ものすごくうれしかったんだけど!」



 高折くんがあわてて首を振る。



「ううん。わたしがあんなこと……」

「だからうれしかったんだって、マジで!」



 あせっている高折くん。

 真っ赤になっているわたし。

 また目が合って、一瞬黙って、そのあとふたり同時に吹き出した。