きみとぼくの終わらない物語

「で、今でもオリオンに会うために、冬の夜にはオリオン座のすぐそばを、月が通っていくって話」



 話し終わった高折くんがわたしに視線を向けた。

 わたしは急に我に返る。



「お前、おれの話、聞いてた? なんかぼうっとしてるけど」

「えっ、あ、うん。もちろん聞いてたよ」



 わたしが言うと、高折くんはちょっといたずらっぽく笑った。

 なんかくやしいな。

 わたしばっかりびくびくしたり、おどおどしたり。

 わたしもなにかないかな。

 高折くんがびっくりするようなこと、してみたい。



「た、高折くんっ」



 いいや。もうこうなったら……



「リゲルってどの星だっけ?」

「え、リゲルっていうのは、あの右下にある青白い……」



 高折くんが夜空に顔を向ける。

 わたしはちょっと腰を浮かせて、その横顔に近づきながら目を閉じる。

 高折くんのほっぺたに、ふわっとわたしの唇が触れた。



「えっ」



 高折くんの短い声が聞こえて、わたしはぱっと体を離す。

 心臓が今までで一番速く動いていて、自分の顔が茹で上がるほど熱い。



「えっ?」



 もう一度つぶやいた高折くんが、呆然とした顔つきでわたしを見る。

 わたしはきっとゆでだこのように、真っ赤な顔をしているだろう。

 だけど……高折くんの顔も赤くなっている。



「つ、つきあうって、こういうことでしょ?」



 わたしの震える声が、白い息と一緒に吐き出される。



「う、うん。まぁ……そういうことだろうな」



 高折くんが困ったように手で口元を覆って、わたしから視線をそらした。

 あれ、高折くん。予想以上に、照れてる?