きみとぼくの終わらない物語

 静かな部室で冬ちゃんと絵を描く。

 今日は自分の絵に、お話をつけてみる。

 前にちょっと考えた、絵本から飛び出した恐竜と男の子が仲良くなるお話。

 タイトルも頭の中で決めているんだ。



『きみとぼくの終わらない物語』



 鉛筆で描いた男の子の絵に、水彩で淡い色を塗る。

 絵を描いていると、ストーリーも浮かんでくる。

 描いた絵の横に、文字も書いてみた。



「わぁ、いいじゃん」



 冬ちゃんが横からそう言ってくれる。

 まだ一ページだけど、なんとなく絵本っぽくなってきたかな?

 わたしの夢は、まだ描きはじめたばかりだけど、いつか誰かを癒してあげられるような絵本が作れたらいいなって思う。



「ねぇ、くるみの描く男の子ってさ」



 冬ちゃんがわたしの絵をながめながら言う。



「ちょっと高折くんに似てない?」

「えっ、似てないよ」

「そうかなぁ?」



 少し首をかしげてから、冬ちゃんは絵本を読んでいる男の子の絵を指さして微笑む。



「でもこの子、すっごく幸せそうな顔してるね」



 わたしは自分の絵を見下ろして、なんだかすごくうれしくなる。

 冬ちゃんには内緒だけど、本当はこの絵を描きながら、いつもある男の子のことを想っているんだ。

 わたしの部屋で、一緒に絵本を読んだ『蓮くん』のことを。



『その子のそばにいるだけで居心地がよくて……ずっとここにいたいと思った』



 高折くんの言葉を思い出し、胸がほっこりとあたたかくなる。



「あー、くるみ。いま、高折くんのこと、考えてたでしょ?」

「えっ」

「すっごく幸せそうな顔、してたもん!」

「そんなことないよー」



 冬ちゃんとふたりで笑い合う。

 冬ちゃんと友達でよかったって、心から思う。



「あ、もうこんな時間」

「そろそろ帰ろうか」



 ふたりで夢中で絵を描いていたら、外が薄暗くなっていた。

 好きなことをやっていると、時間が早く進むって本当だな。



 荷物をまとめて、冬ちゃんと外に出る。

 真冬の冷たい風が、ひゅうっとわたしたちのスカートを揺らす。



「じゃあね」

「ばいばい」



 冬ちゃんと校門で別れ、ひとりでバスに乗る。

 冬の日暮れは早く、窓の外はもう真っ暗になっていた。