きみとぼくの終わらない物語

「あ、あのね、冬ちゃん。冬ちゃんに見てもらいたいものって、これなの」



 わたしは箸を置き、リュックの中からスケッチブックを取り出すと、冬ちゃんの前にひろげた。

 いつか絵本を作るために、ずっと描きためてきたわたしの絵だ。

 今まで自信がなくて、冬ちゃんに見せることができなかったけど。



「うわぁ、すごい。かわいいじゃん」



 冬ちゃんが身を乗り出し、スケッチブックをめくりはじめる。

 小さい男の子や女の子。

 猫や恐竜、ふわふわの雲。

 わたしの空想の世界を、淡い色でこの紙に描いた。



「お話も、少しずつ考えてるの。いつか絵本が作れたらいいなって……」



 冬ちゃんがページをめくりながらうなずいている。



「いつか……ほんとにいつかだけど……絵本を作る人になれたらいいなって思ってる」

「うん、いいと思う! くるみの絵ってすごくほんわかしててやさしくて、癒されるもん。わたし、くるみの絵、好きだよ」



 冬ちゃんがそう言って笑ってくれた。

 はずかしくて、でもすごく嬉しい。

 そしてわたしは高折くんに言われた言葉を思い出す。



『なれるよ。きっと』



 高折くんが背中を押してくれたから、わたしは今日はじめて冬ちゃんに、自分の夢を伝えられたんだ。



「ありがとう、冬ちゃん。わたし、がんばるね」

「わたしもがんばって漫画描くよ! くるみがおもしろいって言ってくれるからさ」



 冬ちゃんがわたしを見て、にっと笑う。



「わたしはいつもくるみに、勇気をもらっているんだよ」



 わたしが? わたしが冬ちゃんに勇気を?

 冬ちゃんはもう一度わたしに笑いかけると、スケッチブックを両手で差し出した。

 わたしはそれを受け取りながら、冬ちゃんに笑顔を見せる。



 ふたりでお弁当を食べたあと、部室で絵を描きはじめた。

 大好きな友達と大好きなことをしていられる時間が、本当に幸せだ。

 だけどこの時間にも必ず終わりは来る。

 だからこそ今をもっともっと大切に、過ごしていかなきゃいけないんだなぁって、そう思った。