きみとぼくの終わらない物語

 その日は終業式やホームルームがあって、学校は午前中で終わった。

 わたしは冬ちゃんとふたりで部室に行き、そこでお弁当をひらいた。



「くるみ、わたしだけに見せたいものってなに?」



 美術部の後輩はまだ来ていなくて、部室の中はわたしと冬ちゃんのふたりだけだった。



「うん……えっとね……」



 わたしはちらりと隣の椅子に置いてあるリュックを見る。

 その中に入っているスケッチブックを、今日冬ちゃんに見せようと思っていた。



「あれ?」



 そのとき冬ちゃんが、なにかに気づいたように目を丸くした。



「ねぇ、今日のお弁当、くるみが作ったの? なんかオシャレじゃない?」

「えっ、あ、ううん」

「おばさんの作ったお弁当……とは違うよねぇ?」



 そう言って冬ちゃんが、わたしのお弁当箱をじろじろとのぞきこんでくる。

 毎日一緒にお弁当を食べている冬ちゃんだから、この違いに気づいてしまうんだろう。



「あの、これね……高折くんが作ってくれたの」

「ふわぁ! 彼氏の手作り弁当!」

「か、彼氏?」

「彼氏でしょ! さっき堂々と『おれの彼女』って言われてたじゃん。しかもそのお弁当、レベル高っ。ほんと高折くんって、なんでもできるんだねぇ?」

「う、うん……」



 冬ちゃんの前でうなずきながら、ちょっと考える。

 高折くん、本当にわたしなんかでいいのかなぁって。



「あ、今くるみ、ちょっと思ったでしょ? わたしなんかでいいのかなぁって」



 冬ちゃんの声に、はっと顔を上げる。

 冬ちゃんはわたしを見ながら、にこにこしている。

 やっぱり冬ちゃんは、なんでもお見通しなんだ。



「大丈夫だよ。くるみはもっと自信持っていいんだよ。ちゃんと自分の気持ち、高折くんに伝えられたんだし、それだけでもすごいよ」

「そうかな……」

「そうだよ」



 冬ちゃんの笑顔を見ていたら、少しずつ勇気が沸いてきた。