きみとぼくの終わらない物語

「あれ? 蓮は?」



 わたしの席まで来た新名くんが、きょろきょろと周りを見回す。



「さっき廊下で、一年生からプレゼント攻撃されてたね」



 永峰さんが機嫌悪そうに答える。



「は? なにやってんだ、あいつ。昨日、おれたちがせっかくふたりきりにしてやったのに。なぁ? くるみちゃん?」



 そう言って新名くんがわたしを見る。

 永峰さんと冬ちゃんもこっちを向いて、わたしの返事を待っている。

 わたしはどうしたらいいのか、わからなくなる。



「で、昨日、どうだったの?」



 新名くんがじりっとせまってきた。



「蓮とふたりで、どうだったの?」

「あ、えっと……昨日は……」



 顔がかあっと熱くなり、声がどんどん小さくなっていく。



「え? なに? 聞こえないよ」



 新名くんがわたしの肩に手をのせて、耳を近づけてくる。

 近い。近いよ、新名くん。

 それにわたしまだ、なんにも言ってない。



 永峰さんの視線が痛い。

 冬ちゃんは眼鏡の奥の瞳をキラキラさせて、わたしを見ている。

 わたしの肩に手を置いたまま、新名くんはもっとそばに顔を寄せてくる。



「おい、新名」



 突然、声が聞こえた。



「触んなよ」



 顔を上げると、高折くんが立っていた。