学校の前のバス停に着くと、わたしたちはつないでいた手をどちらともなく離した。

 バス停から校門までは、たくさんの生徒たちが歩いている。

 その中をわたしと高折くんは、ほんの少し距離を置いて、でもなんとなく離れずに同じ教室に向かって歩く。



「よっ、蓮!」

「おはよー、蓮くん」



 校舎に入ると、高折くんに声をかける人が増えてきた。

 廊下を歩きながら、高折くんは何人もの人から声をかけられている。



 やっぱり高折くんはアイドルなんだ。

 あんまり近くにいすぎて忘れていたけど、もともとわたしとは別世界の人。

 カッコよくて、勉強もできて、スポーツも得意で……あ、でも、お料理も上手だってことは、誰も知らないかも。



 廊下でふたりの女の子が、高折くんに声をかけてきた。

 上履きの色が違うから、一年生だ。

 ふたりはリボンのかかった、クリスマスカラーの包みを差し出している。

 わたしはそんな高折くんを残して、ひとりで教室に入る。