「メリークリスマス!」



 家に帰ったわたしたちは、お父さんとお母さんと一緒にリビングでクリスマスケーキを囲み、ジュースで乾杯をした。

 暖房の効いた部屋の中は、ぽかぽかとあたたかい。

 ミルは高折くんの隣で、キャットフードをガツガツと食べている。



「あなたたち、お友達とケーキ食べてくるんじゃなかったの?」

「ああ、うん。いろいろ予定が変わって……ねぇ、高折くん?」

「そうです。まぁ、いろいろあって……あ」



 高折くんがなにかを思い出したように、リュックの中から袋を取り出す。



「そうだ、これ……どうしよ」

「あっ」



 わたしもバッグの中から包みを取り出す。

 新名くんに言われたプレゼント交換用のプレゼント、用意したのに。



「まぁ、いいや。これやるよ」

「えっ、いいの?」



 高折くんが、わたしの胸に袋を押し付ける。



「だって買っちゃったし」



 その声を聞きながら、わたしも自分の包みを高折くんに渡す。



「じゃあ、これ……よかったら、どうぞ」



 プレゼントを交換し合って、ふたりで顔を見合わせる。

 なんだかめちゃくちゃ恥ずかしい。



「あら、プレゼント交換? いいじゃない。ふたりとも開けてみなさいよ」

「えー、ここで?」

「いいから、ほら。蓮くんも!」



 お母さんにせかされて、仕方なくわたしたちはお互いの包みを開く。



「あっ」

「あれ?」



 中身を見て驚いた。

 猫の絵がついた、色違いのマグカップだった。



「まぁ! おそろいじゃない!」

「気が合うな。ふたりとも」



 お母さんとお父さんがにこにこ笑っている。

 わたしはそんなふたりの前で肩をすくめる。



「それ、ミルに似てると思って……」



 高折くんがわたしの右側で、言い訳っぽくつぶやく。



「わたしも……なんかミルに似てて、かわいかったから」



 ミルが高折くんの膝にすり寄って「な~ご」と低い声で鳴く。

 高折くんはそんなミルを抱き上げて、膝の上にのせた。



「じゃあさっそく、そのカップにコーヒーでもいれようか? 蓮くんはミルクだけでいいんだったよね」

「あ、はい。お願いします」



 お母さんがマグカップをふたつ持って立ち上がる。

 ミルク……その言葉を聞いて、思い出した。