きみとぼくの終わらない物語

「おれがクラスの準備サボって、校舎の中うろうろしてたらさ。誰もいない美術室で、ひとりで必死に頑張ってるんだ。きっと面倒な仕事を押し付けられてるんだろうなって思って見てたら、なんか大変そうなのに楽しそうで……この子、なんでこんなに頑張れるんだって思って……」



 そこで言葉を切ったあと、高折くんはわたしの顔を見て言った。



「好きになった」

「え?」

「その時から……もう一度好きになったんだ」

「うそ……」



 両手で口元を覆った。



「うそじゃねぇよ」

「うそだよっ、だって、そんなの……ありえない」



 あわてるわたしの前で、高折くんは困ったように髪をくしゃくしゃとかき回す。



「じゃあどうしたら信じてくれる?」

「……去年、ほんとうに見てたの?」

「見てたよ。恐竜の絵を描いてた」



 ああ、そうだ。クラスの出し物、段ボール迷路の看板に、恐竜の絵を描いたんだ。

 冬ちゃんが風邪で休んでいる間、たったひとりで作っていたけど、あれは描いてて楽しかった。



「あの日以来、誰ともつきあってない。永峰とも」



 わたしはぎゅっと両手を握った。

 そんなわたしの前で、高折くんはちょっと視線を落とす。



「だから……ほんとは嬉しかったんだ。くるみに『好き』って言われたとき。でもさ……ほんとにおれなんかでいいのかって自信なくて。それに新名のことも……あったし」

「……うん」

「でもそういうところがダメなんだよな、おれ。自分の気持ちをごまかしてるうちに、好きな子のこと……傷つけた」



 高折くんがわたしの前で頭を下げる。



「ごめん」

「わ、わたしは全然……」



 言いかけて、言葉を変える。