きみとぼくの終わらない物語

 電車とバスを乗り継いで、家の近くのバス停で降りる頃、あたりはもう暗くなっていた。

 近道の公園を、ふたり並んで歩く。

 高折くんが手に持っているのは、駅前で買ったクリスマスケーキ。

 家に帰ったら、お父さんとお母さんとわたしたちの四人で食べようと決めていた。



「あっ」



 なにかに気づいた高折くんが、ケーキをかばいながら走り出す。



「にゃあ~」



 公園のベンチの上で、わたしたちを待つように座っていたのはミルだった。



「お前……また脱走してきたのか?」



 高折くんはケーキをベンチの上に置き、両手でミルを抱き上げる。



「高折くんのこと、待ってたんだね、きっと」



 わたしの声に高折くんが笑って、ミルが「なぁ~ご」と低い声で鳴く。

 それから気持ち良さそうに、上を見上げた。



「あ……」



 つられて上を見上げた高折くんが言う。



「星……」

「星?」



 わたしも一緒に顔を上げる。

 暗くなった空には、いくつもの星が瞬いていた。

 そういえば前に、高折くんとこんな会話をした。



『冬になったら……もっと星が見えるの?』

『うん。空気も澄んでくるし、明るい星がたくさんあってきれいだよ』



 あの日、冬になったらもう一度、高折くんから星の話を聞けたらいいのに、って願ったことを思い出す。



「きれい……」



 空を見上げたまま、思わずつぶやく。

 こんな時間に空を見上げたことがないから、知らなかったけど、住宅街の中からでも、星はきれいに見えたんだ。

 ふと視線を動かすと、ミルを抱いている高折くんがわたしを見ていた。

 恥ずかしくて、背中を向ける。

 そんなわたしに高折くんが言った。



「少し……長い話を、してもいい?」



 わたしはゆっくりと顔を向ける。

 高折くんはわたしを見つめ、ほんの少し微笑んだ。