きみとぼくの終わらない物語

 日当たりのいい霊園の一角に、高折くんのご両親のお墓があった。

 お墓には新しい花が供えられていた。



「ときどき親戚の人が来てくれるんだ。いろんな手続きとかそういうのも、やってもらってる。おれひとりじゃ、なんにもできないから」



 高校生になって大人になったつもりでいても、わたしたちはまだまだ子どもで……大人に頼らなければやっていけないことがたくさんある。

 特に高折くんにはそういうことがいっぱいあって、それをひとつひとつ乗り越えながら、これからも生きていかなきゃならないんだ。



 墓石の前にしゃがんだ高折くんが手を合わせる。

 わたしもその隣に並んで目を閉じる。

 わたしは小さいころに会ったことのある、高折くんのお母さんを思い出す。



 記憶は薄れてきているけれど、すごくやさしく笑いかけてくれたことを、いまでも覚えている。

 そしてわたしの家から帰るとき、小さかった高折くんは、大好きなお母さんの手をぎゅっと握りしめていた。



 おばさん、おじさん。

 どうか高折くんのことを、見守っていてあげてください。



 手を合わせたまま目を開けて、そっと隣を見る。

 高折くんはまだじっと目を閉じている。

 冷たい風が吹いて、高折くんの髪を揺らした。

 その背中がかすかに震えている。



「……高折くん?」



 高折くんは手を合わせたまま、うなだれた。



「高折くん……大丈夫?」



 わたしの声に少し体を動かし、高折くんは手で目元をこする。



「強く……ならなきゃダメなのに」



 高折くんの声はかすれていた。



「もっと強くならなきゃって思うのに……全然ダメなんだ、おれ……」



 わたしは思い出す。

 三階の教室の窓から、高折くんがふっといなくなりそうになったあの日のこと。



「いつまでたっても、まだ涙が出る。そんな自分が情けなくて、嫌になる」

「違うよ……高折くん」



 隣でうなだれている高折くんに言う。



「情けなくなんかないよ。涙が出て当たり前だよ。大事なひとを亡くしたんだから……」



 そっと手を伸ばし、その背中に触れる。丸くなった背中は震えていた。