「メリークリスマス! 蓮とくるみちゃん! もう待ち合わせ場所にいるのかなー?」



 電話の向こうから、新名くんのふざけた声が聞こえてくる。

 高折くんは顔をしかめて、スマホを耳から遠ざけた。



「新名、お前いまどこだよ? 早く来いよ」

「いや、おれたちいま、冬ちゃんちでクリパしてっから」

「は?」

「いま、冬ちゃんにかわる」



 わたしはあわてて聞き耳を立てる。



「くるみ、ごめんねぇ?」

「冬ちゃん?」

「あ、これ企画したの、新名くんだから。わたしのせいじゃないからね」



 わたしはまだ意味がわからなかった。



「永峰さんにかわるね」



 冬ちゃんの声がそう言って、すぐに永峰さんが出た。



「蓮ー? あんたがぐずぐずしてるから、ふたりきりにしてあげたんだからね? わたしらに感謝してよ?」

「は? なんだよ、これ。いい加減にしろよ?」

「いい加減にするのは、蓮のほうでしょ? 矢部さんのことが気になって仕方ないくせに。さっさと自分の気持ち、伝えなさいよ」

「……なんなんだよ」



 つぶやいた高折くんの声に、新名くんの声が重なる。



「ま、そういうことだから。あとはふたりで好きなとこ行けや。あ、カラオケは最初から予約なんかしてねーから、そのつもりで。それからプレゼント交換は、ふたりでしなさい。ケーキはおれたちで食う」

「新名! お前な……」



 高折くんが言葉を切った。