新名くんに誘われた今年のクリスマスイブは、日曜日だった。

 朝からとても良い天気で、わたしは新名くんから連絡があった通りに、プレゼント交換用のプレゼントを持って家を出ようとした。



「あっ」

「あ……」



 玄関でばったり高折くんに会った。

 同じ時間に待ち合わせしているんだから、ばったり会うのは当たり前か。



「今から行くの?」

「そっちも?」



 わたしがうなずくと、高折くんは少し笑って言った。



「じゃあ一緒に行こうか」

「そ、そうだね」



 なんだかヘンな感じ。

 そんなわたしたちに気がついて、お母さんが声をかけてきた。



「あら、ふたりで出かけるの? めずらしい」

「ふ、ふたりだけじゃないよ? 友達と待ち合わせなの。ね? 高折くん」



 あせって、言い訳みたいなことを言ってしまった。



「ふーん。それで今年はケーキいらないとか言ったのね?」

「ケーキ?」



 高折くんがわたしを見る。わたしはあわてて説明する。



「あ、いつもクリスマスイブは、お母さんたちとケーキ食べてたの。でも今年はいらないでしょ。だってほら、みんなと食べるから」



 新名くんがクリスマスケーキを予約したと、張り切っていた。



「いいわねぇ、若いひとたちは。楽しんできてね」



 お母さんがにっこり笑って、わたしたちに言う。



「いってらっしゃい」

「いってきます」



 お母さんに見送られて家を出る。

 なんだかちょっと照れくさい。