十一月になると、急に冷え込みが厳しくなった。

 だけど布団の中はあたたかい。

 ふかふか、ふわふわ、なんだか雲の上でお昼寝しているみたい。

 ん? 雲? 違う。このもふもふ感は……。



「ミルっ! またわたしの布団にっ」

「んなぁ~ご」



 ミルがあくびをしながら低く鳴く。



「あ、ミル。またここにいた」



 聞こえてくるのは高折くんの声。

 わたしは体を丸めて布団にくるまる。



「お、おはよう」

「おはよ」



 高折くんは平然とした顔つきで、ミルをひょいっと肩に乗せる。



「おばさんが、朝メシできてるぞって」

「う、うん。いま行く」



 ミルを肩にかついだ高折くんが部屋から出ていく。

 わたしは、はぁっとため息をつく。

 また見られた。寝起きのパジャマ姿。

 高折くんと暮らしはじめて二か月が過ぎた。

 だけどこのどきどきは、まだ治まらない。