きみとぼくの終わらない物語

 秋の夜風が、わたしたちの間を吹き抜けた。

 ミルが眠そうな顔を上げて、大きなあくびをする。

 しばらくの沈黙のあと、高折くんがわたしに言った。



「この絵……もらってもいい?」

「え……」



 突然言われて、戸惑う。



「おれが勇気をあげたんだったら、そのお礼にちょうだい」

「それは……だって……まだ人にあげるほど上達してないし……」

「おれはこの絵が欲しいんだ」



 わたしはスケッチブックを引き戻すと、その絵を一枚、丁寧にはずした。

 そして高折くんの前にそっと差し出す。



「ありがとう」



 高折くんがそれを受け取る。



「大事にする」



 高折くんはわたしの絵を、自分のリュックの中に丁寧にしまった。



「おれが……くるみのファン、第一号な」



 頬がかあっと熱くなる。

 でも……すごく嬉しい。

 いいのかな……自信を持ってもいいのかな。

 わたしは自分の絵に、自分の選んだ未来に、自分自身に……自信を持っていいのかな。



 ミルが、高折くんの膝からぴょんと飛び降りる。

 そして地面で伸びをすると、てくてくと歩き出した。



「家に帰るのかな」

「わたしたちも……帰ろう?」



 高折くんの顔を見る。

 高折くんもわたしを見て、黙ったままうなずいた。