きみとぼくの終わらない物語

「先生に呼び出しとか、だっさ」

「うるせぇな。あの担任、カンケーないテストの結果まで持ち出しやがって……てか永峰。なんでお前がいるんだよ」

「矢部さんもいるよ」



 永峰さんがくるりと振り向き、わたしを見た。



「あんたたちのこと心配してたからさ。連れてきてあげたの」

「ああ、そう。それはどうもご丁寧に」

「なにその言い方。少しはわたしに感謝してよね」

「べつに。くるみちゃん連れてきてなんて、頼んでねーし」

「は? こいつ、ムカつくわ」



 永峰さんと新名くんが言い合っている。

 わたしは窓際に突っ立ったまま、ちらりと高折くんを見た。

 高折くんはうつむきがちに、そこに立っている。



「じゃあ、帰るか。永峰、一緒に帰ってやるよ」



 新名くんが言う。



「ちょっ、なんなの、それ」

「蓮。お前はくるみちゃん送っていけよ。てか同じ家に帰るんだけどな」



 ははっと笑った新名くんが歩き出す。

 ちらっとわたしを見た永峰さんは、新名くんを追いかけて行ってしまった。

 だけど高折くんは動かない。

 わたしもどうしたらいいのかわからなくて、そこに立ったままだ。



「新名の……」



 やがてぽつりと高折くんがつぶやく。



「新名の言ってることは……全部正しいんだ。だからおれは……一言も言い返せなかった」

「高折くん……」

「ごめん」



 その『ごめん』は何のごめんなの?

 教室で喧嘩をしたこと?

 本当の気持ちを言わないこと?

 新名くんに遠慮してること?



「高折くん……帰ろう?」



 高折くんがわたしの前で、静かに顔を上げる。



「帰ろう? 一緒に。わたしたちの家に」



 静かな廊下の端っこで、高折くんはただ黙って、わたしの顔を見つめていた。