きみとぼくの終わらない物語

「あのふたり、いつもああなんだよ」



 放課後。職員室前の廊下。

 遠くからかすかに吹奏楽部の楽器の音が聞こえる。



「年に一回くらいは、大喧嘩するの。だいたい先に新名が口を出して、蓮は口では新名に負けるから手を出して、それで結局は殴り合い。まぁ理由は、その時によって違うけど」



 わたしは永峰さんと立っていた。窓際の壁にもたれて。



「でも今回の理由は……矢部さんなんじゃないの?」



 なにも言えずにうつむいた。

 確かにわたしがいなければ……あのふたりが喧嘩することもなかったはず。



「あのふたり、矢部さんを取り合ってたとか?」

「そんなんじゃ……」



 あわてて顔を上げると、永峰さんがふっと笑った。



「まぁ、どうでもいいけど。わたしにはもうカンケーないし」



 もう一度うつむいたわたしの前で、職員室のドアが開いた。



「失礼しましたぁー」



 ふざけた口調の、新名くんの声が聞こえる。



「来た来た」



 永峰さんが新名くんと、その後ろから出てきた高折くんに駆け寄っていく。