「もしかしておれの告白に刺激されて、くるみちゃんも告っちゃったとか?」

「ち……」



 違う、と言いかけて、言葉を切った。

 いつでもまっすぐぶつかってくる新名くんに、嘘はつきたくない。



「……うん。言った。す……好き……って」

「ひゃー!」



 また冬ちゃんが悲鳴のような声を上げ、それから顔を寄せてささやいてくる。



「で、で? 返事は? 高折くんの返事は?」

「ちょっと待て、冬ちゃん。それをおれの前で聞くか? くるみちゃんにフラれて傷心中のおれの前で」

「は? 新名くんだって知りたいでしょ? 高折くんがなんて答えたか」

「まぁ、そりゃあ、な……」



 曖昧につぶやいた新名くんが、わたしを見て驚いた顔をした。



「く、くるみ?」



 冬ちゃんもあわてて、わたしの名前を呼ぶ。

 わたしは頬に手を当てた。

 あれ、わたし……また泣いてる?



「お、おかしいな……なんで泣いてるんだろう、わたし」

「もしかして、くるみ……高折くんにフラれちゃったの?」



 冬ちゃんの直球が飛んでくる。

 わたしはうつむきながら、小さな声で答えた。



「わたしは……新名くんとつきあったほうがいいって……言われちゃった」

「は? なんだそれ」



 新名くんが机をどんっと叩く。



「なんであいつがそんなこと決めるんだよ。いったい何様のつもりだ? 自分の気持ちも言わないで」



 そう言った新名くんの前に、リュックがどさっと置かれた。

 高折くんのだ。



「どけよ、新名。そこ、おれの席」



 わたしは涙をぬぐって、そっと隣の席を見る。

 横に立つ高折くんをちらっと見上げた新名くんは、ふいっと顔をそむけて言った。