「結局・・・逢えなかったね・・・。」


アラームを止めた後、
液晶画面に設定している写真と目が合う。


でも久しぶりにちょっとだけ声が聞こえた。

私の脳内に残っている・・シンジ君が恵子さんを呼ぶ声をちゃんと再生してくれた。


・・・・・・うんっ・・!


布団を払って、洗面台に向かって赤色をひねって、水が温まるまでの間にトイレへと向かう。


今日はいつもより20分早く起きれた。
そうやって考えないと・・!




トイレを済まして、洗面台に戻って、
ヘアバンドで前髪を上げて・・・・


「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」



鏡に映る自分の両頬に・・
スゥっと滴が伝っていた・・。


鏡越しにいる自分の両目尻に・・今にもまた頬に落ちそうな滴が溜まっていた・・。


「・・・・・・・・・・・・・・。」


だから慌てて、両手でお湯を溜めて、
バシャッと顔に浴びせた。






第5話 完