箱崎桃にはヒミツがある おまけ

「あ～、私、歯の治療するくらいなら、切腹する方がマシな気がしてきたわ」
と来島は言い出す。

　マシなわけないと思うが……、と貢が思ったとき、外の緑で心和むようにと、大きめに設(しつら)えてある窓を見ながら、来島が呟いた。

「今すぐ、この窓から何処かの組織のエージェントみたいにパリンッと窓を割って、格好よく逃げたいわ～」

　逃げてもいいですが、遠からず、また来ることになりますよね。

　しかも、歯の痛みだけでなく、全身に刺さったガラスの痛みも味わうことになると思いますが……。

「全身麻酔はしませんからね、来島さん」
と貢が確認のために言うと、ぎゅっ、と二人は手を握り合う。

　……二人とも刺してやろうか、電気メスでブスッと、と見ようによっては美しい姉妹のようにも見えるマネージャーと桃を見る。