「嫌よ~。
 歯医者嫌よ~。

 今すぐ地球が滅びないかしら~」

 目前に迫った歯医者の治療に怯え、来島(きじま)がカフェで騒いでいた。

 一緒にお茶していた桃が、
「そんなことでいちいち地球が滅びてたら、困りますよ~」
と苦笑いして言うと、来島は冷ややかに桃を見て言ってくる。

「あら、なによ。
 あんた余裕ね。

 歯医者が旦那になったから?
 愛する旦那様の治療なら平気って話?」

 貢の予想通り、来島は桃たちの新婚生活をケッ、と鼻で笑う。

「そういえば、あんた最近、ちゃんと定期検診とかしてるらしいじゃないの。
 それで虫歯ないと思って安心してるんじゃないの?

 ……どうしたの?」

 桃は定期検診、という言葉に震え始める。