箱崎桃にはヒミツがある おまけ

 だが、そのあと、食事を続けていた貢が突然、立ち上がった。

 桃のところに来て、腕をつかむ。

「よし。
 今から()てやろう」

「ええっ?
 なんでですかっ?」
と桃は連れて行かれないよう、ダイニングテーブルの脚をつかんだ。

「予告もなしにいきなり診られたいんだろ?
 今から行こう」
と言って、貢は、ほんとうに行こうとする。

「けっ、結構ですっ」
と腕をつかまれたまま、桃は暴れた。

「じゃあ、今すぐ此処で少し診てやろう。
 怖いなら目を閉じてろ」
と言われ、顎に手をやられる。

 ひーっ、と思いながらも、歯医者様には逆らえない。

 ぎゅっと目を閉じ、口を開けようとしたが、開ける前に、貢がそっと口づけてきた。

 桃が目を開けると、貢は、ちょっと笑い、
「じゃあ……来週な」
と言う。

 ……だ、騙されましたよ、と桃は俯き、赤くなる。