「おっおっおっ、沖田先生っ!
なんで、いつからここに!!」

目を白黒させてしどろもどろになって先生にかけよった。
焦りすぎて足がもつれてころびかけた私を、先生が腕を伸ばして抱き止めた。

「おっと。危ないな。気を付けろ。

それから。
今の言葉をみんなに誤解されないように否定しておく。
そう簡単に沖田姓は名乗らせない。

まぁ…。

そんなにすぐに俺の"奥さん"になったらつまらないだろ?」

「……」

意地悪く笑う声が、頭上から聞こえてきたけれど、抱き止められたのをこれ幸いと、私は白衣の背に手を回してぎゅうっとしがみついて大好きな先生の胸に顔を埋めた。

悔しいくらいに私の心臓はドキドキして、身体中の血液が沸騰しているんじゃないのかというぐらい身体が熱い。


だけど…。


胸に押し付けた耳に伝わる先生の心臓は、変わることなく規則正しい一定のリズムを刻み続ける。


「…本多さん。本多さん?

おいっ、真琴!!」


「えっ…」

ざわめく周囲の声に、顔を上げて先生を見上げると…。

「そういうことは二人の時にしような?」


うわっ!!
目がっっ!怒ってる!!

慌てて手を離した私を引き剥がした先生は、咳払いをしてポケットからハンカチを取り出した。