「いらっしゃい。
今日も遅いな先生。いつものカウンターでいいか?」

店内はやはり男性客ばかりで、カウンターの向こうからラーメンを湯切りしながら年配の店主が店に入った私たちに声をかけた。

店主はすぐに先生の後ろに立つ私に気がつき、目を大きく見開
身体の動きを止めて固まった。

「おいおい」

店主の声にレジにいた年年配の女性が走ってきて

「あらやだ!」

と同じように目を見開き先生と私を交合に見つめた。

「先生、お店間違えてるよ。
こんな可愛らしい女性を連れてくるような場所じゃないでしょ」

カウンターに黙って進んだ先生はそこがいつもの指定席なのだろう。

壁際の席をひとつあけて腰かけた。私も後に続いて、空けてくれた席に腰かけた。

「この店はなチャーシュー麺と餃子が絶品なんだ。
炒飯もオススメだぞ」

「じゃあオススメでお願いします」

そう答えると先生は炒飯とチャーシュー麺2つ、餃子を1枚注文した。

お冷やを持ってきたおかみさんは呆れ顔で

「まったく、うちの料理を誉めてくれるのは嬉しいけどデートに連れてくる場所じゃないでしょ。こんなむさくるしいお店にごめんなさいね」

眉を下げて私の前にもお冷やをおいた。

「いえ、前々から来てみたかったんです。1人じゃなかなか入れなくて。
それに先生の行きつけに連れてきてもらえて嬉しいです」


社交辞令でもなく、思っていることを素直に口にして笑顔を向けると

「あらあら、先生いい娘を捕まえたじゃないの。
あなた、いつも以上に腕をふるってあげて美味しい料理食べさせてあげて」

「あいよ!
うちのチャーシューはうまいからな。サービスするから1人で来づらいならまた先生と一緒に食べきてな」

「はい!また来ます」

元気よく答えた私に、隣に座る先生の目が少しだけ細められたのがわかり、機嫌か直ったのだとホッとした。