「はぁ......。」

「ちょっと、またため息ついて。私が休みのたびに入り浸ってるけど、いいの?本当に仕事探さなくて。」


 一週間後。私は、双葉のマンションに来ていた。

 洗濯日和だと言わんばかりに、差し込んでくる太陽の下。ベランダに出て洗濯物を干す彼女に痛いところをつかれ、耳が痛い。

 矢島さんのこと。母との電話。そして、無職の現状。

 リビングのテーブルに突っ伏して、ボーッと双葉の姿を眺めながら、頭痛の種の多さにため息ばかりが溢れた。


 でも、ここには私の癒しがいる。

 先ほどから、私の周りをウロウロしては、外で積んできたような少しくたびれたピンク色の花を置いていく。少し濡れていたり、枯れていたりとどこから持ってきたのか分からないけれど、その花がどうしようもなく愛おしく思えた。

 私はおもむろに起き上がり、お花の贈り主に視線を合わせるように体をかがめた。


「大人になったら俺が晴日をもらってやるから、落ち込むなって。」


 すると、目が合うなりそう言ってきた。将来有望な可愛い顔面を持ち合わせた男の子。双葉の息子――礼央(れお)

 いわゆるクウォーターで、外国の血が入っているからか目はクリクリ。少し日本人離れした整った顔立ちの7歳児。